2019年05月20日

カリーマ姫と巨大なワシ

続けて、プリンセス・シリーズから日本語訳の紹介です。
こちらは、カリーマ姫と巨大なワシのお話です。

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絵本をお持ちの方は、ぜひご活用ください。
(注:以前、原作からあえてストーリーを変えてある部分があります。)


慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

プリンセス・カリーマと大きなわし


P2
サキーナ城の中で、美しい女の赤ちゃんが産まれました。王様とお妃さまは、アッラーの99の美名をとても愛しておられました。その中でも特に、日本語で、優しい、寛大な(心が広い)という意味の「アル=カリーム」というお名前がとっても好きだったので、赤ちゃんに、「プリンセス・カリーマ」という名前をつけました。

P4 プリンセス・カリーマは、お城の中でとってもかわいく優しい女の子に育ちました。だれか困っている人を見ると、すぐに助けてあげました。
毎朝、プリンセス・カリーマは、お城のお庭にやって来る可愛い小鳥たちに、エサをあげるのが大好きでした。

P6 ある日、王国の一番遠い町で大きな地震が起こり、たくさんの人が困っているというニュースが入って来ました。プリンセス・カリーマは、お父さんの王様のところに急いで行くと言いました。
「お父様、私、地震があった町に今すぐ行って、みんなを助けたいの、お願い行かせてください。」
王様は言いました。
「私の大切なプリンセス・カリーマ、行って助けてきなさい。でも地震のあった町はとても遠い。じゅうぶんに気を付けて行くんだよ。」

P8 プリンセス・カリーマは何人かの家来を連れて、朝早くすぐに出発しました。遠い町までの道はとてもけわしく、危ない道でしたが、プリンセス・カリーマは、あきらめないで勇敢に進みました。崖の上の道は特に細くて、一人が通るのが精いっぱいです。プリンセス・カリーマは、アッラーにドゥアーしました。
「アッラー、どうか私たちをお守ください。無事に町までたどり着かせてください。」

P10 ところが!山の中にある橋まで来た時、リーダーが叫びました。
「ああ、なんてことだ!町へ行くための橋が壊れているぞ!これでは、向こうに渡れない。。。」

P12 プリンセス・カリーマは、リーダーに聞きました。
「橋を直すのに、どのくらいかかるのかしら?」
「大きな橋なので、急いでやっても二日はかかるかと、インシャーアッラー。」
「困ったわ。地震に遭った人達に、早く薬や食べ物、毛布を届けなければならないのに。アッラー!どうか私達の旅を簡単にしてください!あなたのお力で、私たちを町まで届けてください!」
プリンセス・カリーマは、必死にアッラーにドゥアーしました。するとその時、

P14 見たこともないような大きなわしが空から舞い降りてくると、プリンセス・カリーマの前に翼を広げて降り立ちました。翼を広げたわしは、じっとプリンセス・カリーマたちが乗るのを待っているように見えました。リーダーが驚いて叫びました。「スブハーナッラー!!このわしは、アッラーが私たちをお助け下さるために、お送りくださったに違いない!!これに乗れば、薬や食べ物を遠くの町まできっと簡単に運べるぞ!!我々のうち、何人かは残って、橋を直してから行くことにしよう、インシャーアッラー。」

P16
プリンセス・カリーマは、迷わずにわしの背中に飛び乗りました。「ビスミッラー」
大きなわしは次から次へとやって来て、プリンセス・カリーマと家来たちと、食べ物や薬などをみんな背中に乗せると、遠くの町へ向けて飛び立ちました。「アルハムドゥリッラー、アッラー本当にありがとうございます!あなたは何でもできる御方です!」

P18
わしの背中の上で、リーダーはある出来事を思い出していました。
「そういえば何年か前、プリンセス・カリーマが、怪我をしてお城に迷い込んだ、わしの赤ちゃんを助けてあげていた。そうだ!あの時、プリンセス・カリーマは、わしのあかちゃんに薬を塗って、何日かエサをあげていたらすっかり怪我が治って、アルハムドゥリッラー、家族のところに戻してあげていた。このわし達は、あの時のわしの家族にそっくりじゃないか!スブハーナッラー、アッラーは、いつも困っている人に優しいプリンセス・カリーマのことをご覧になっていて、こんな大きなわしを送って、奇跡を起こしてくださった。アルハムドゥリッラー。」

P20
プリンセス・カリーマと家来たちは無事に遠くの町に着くと、わし達は帰って行きました。アッラーは、他の人をいつも助けているプリンセス・カリーマを、わしを使って助けてくれたのです。「ジャザークムッラーフ ハイラー。」プリンセス・カリーマは、わし達に御礼を言うと、地震にあった人達のところに向かいました。

P22
プリンセス・カリーマと家来たちは、地震で怪我をした人達を助けて、薬や食べ物をあげました。
プリンセス・カリーマは、アッラーに感謝して言いました。「アルハムドゥリッラー、いつも私を善いことに使ってくださってありがとうございます。どうか私たちが、地震にあった方たちのために、たくさん働けますように!」
人々はみんなプリンセス・カリーマが、遠くのお城からわざわざやって来たことにびっくりして喜びました。
「マーシャーアッラー、こんな遠い町まで来てくれるとは!なんてすばらしいプリンセスなんだ。私たちは、こんなに心優しいプリンセスは見たことがない。ジャザークムッラーフ ハイラー。プリンセス・カリーマ、あなたにアッラーからのごほうびが沢山ありますように。」


クイズ:
1. プリンセス・カリーマは、いつも困っている人を見ると、助けていたので、本当に困った時に、アッラーが助けてくれました。

2. 遠い町まで行く途中、橋がこわれていたので、プリンセス・カリーマは橋を直してから行くことにしました。

3. アッラーは、プリンセス・カリーマが背中に乗ることができるくらい大きなわしを送ってくれて、遠くの町まで連れて行ってくれました。

PDFファイルはこちら➡プリンセスカリーマと大きなわし.pdf
posted by An Noor at 19:49| Comment(0) | 幼児〜低学年向けストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ラティーファ姫とクモ

プリンセス・シリーズのお話を、また尊敬するシスターが訳してくださいましたので(ジャザーハッラーフ ハイラン!)、インシャーアッラー、続けて二話、紹介します。
絵本をお持ちの方は、ぜひご活用ください♪

まずはこちら、ラティーファ姫とクモのお話です。
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(注:以前、日本語訳をアップした二話同様、原作からあえてストーリーを変えてある部分があります。)

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

プリンセス・ラティーファとむらさきのクモ


P2
春から夏に変わる頃、イスティカーマ城では、とてもきれいな目をしたかわいい女の子の赤ちゃんが、産まれました。王様とお妃さまは、アッラーの99の美名をとても愛しておられました。その中でも特に、日本語で、優しい、繊細な(小さなこともすべて知っている)、という意味の「アッラティーフ」というお名前がとっても好きだったので、赤ちゃんに、「プリンセス・ラティーファ」という名前をつけました。

P4
プリンセス・ラティーファは、とても優しい心を持った、すばらしい女の子に育ちました。いつもみんなに親切でやさしくて、誰にでも礼儀正しく話しかけました。

P6
ある天気の良い日、プリンセス・ラティーファは、召使の女の子達をおさんぽに誘いました。
「みんなで森にお散歩に行きましょう。森できれいなお花やおもしろい形の木を見に行きましょう。」

P8
みんなで森を歩いていると、プリンセス・ラティーファの召使のハディージャがクモの巣があるのに気付かずに、クモの巣に引っかかってしまいました。紫色の大きなクモは、自分の家を壊されて、びっくりしてハディージャを刺してしまいました。「痛い!」

P10
ハディージャの腕には、クモに刺された跡がふたつ、くっきりと赤くなって残っています。
プリンセス・ラティーファは、すぐに預言者ムハンマドさま(サッラッラーフ アライヒ ワサッラマ)が教えてくださったドゥアーを思い出しました。「ハディージャ、だいじょうぶよ。預言者さま(サッラッラーフ アライヒ ワサッラマ)の教えてくれたドゥアーを言えば、必ず治るわ、インシャーアッラー。」
プリンセス・ラティーファは、自分の右手を傷ついたハディージャの腕に当てるとドゥアーを唱えました。
「アスアルッラーハルアズィーマ ラッバルアルシルアズィーミ アン ヤシュフィヤカ。」×7回
意味(いみ)「私(わたし)は、偉大(いだい)なるアッラー、偉大(いだい)なる玉座(ぎょくざ)の主(おも)にあなたを癒して(いやして)下さる(くださる)ことを祈り(いのり)ます。」

P12
そして、プリンセス・ラティーファは、クモのところに行くと、クモに話しかけました。「アッサラームアライクム☆(あなたの上に 平安がありますように)、クモさん、ごめんなさい。あなたの家をハディージャが壊してしまったので、びっくりしてハディージャを刺したのね。クモさん、どうかハディージャを許してあげてね。ハディージャはあなたの家が見えなかったの。わざと壊したんじゃないのよ。」プリンセス・ラティーファはやさしくクモに語り掛けました。

P14
それから、プリンセス・ラティーファは、アッラーにドゥアーしました。
「アッラー、どうかクモさんの家を元のように直してください。
元の家よりももっと立派な家をクモさんにあげてください。」
クモは、プリンセス・ラティーファのドゥアーをじっと聞いているようでした。

P16
ドゥアーを終えると、プリンセス・ラティーファは、言いました。「アルハムドゥリッラー!いい考えを思いついたわ!」プリンセス・ラティーファは、大急ぎでお城に戻ると、金色の絹の糸を取って来ました。王室だけの特別な布を織るための特別な金の細い糸です。

P18
プリンセス・ラティーファは、上手に金の糸を織り始めました。「ビスミッラー、うまく行きますように!」金の糸はとても細いけれど、大変じょうぶで強い糸でした。糸はキラキラ光って、プリンセス・ラティーファのきれいな心を照らすようでした。

P20
「アルハムドゥリッラー!できたわ。さあ、クモさん、新しいおうちができあがりましたよ。」クモは、金の糸でできた強くて新しい家にそーっと入りました。「マーシャーアッラー、とっても素敵。アッラー、私のドゥアーを叶えてくださって、どうもありがとうございます。」プリンセス・ラティーファはとっても幸せそうにほほえみました。

P22
プリンセス・ラティーファのドゥアーのおかげですっかり痛みがなくなり傷も治ったハディージャは言いました。「マーシャーアッラー、プリンセス・ラティーファ、本当にありがとうございます。あんな小さなクモにも親切にして、クモのために大切なお城の金の糸で新しい家を作るなんて、あなたは、なんて心が優しいんでしょう。ジャザーキッラーフ ハイラー。アッラーがあなたにたくさんご褒美をくださいますように!」
プリンセス・ラティーファと召使たちは、クモにさよならを言うと、お城に向かって歩き出しました。新しい家をもらったクモも、とっても喜んでいるように見えました。


クイズ:
1. プリンセス・ラティーファは、クモの家を壊してしまったので、代わりに金の糸で新しい家を作りました。

2. プリンセス・ラティーファは、クモは小さいので、クモの家は壊してしまってもいいと思いました。

3. プリンセス・ラティーファが、クモに刺されたハディージャのために預言者様(彼の上にアッラーの祝福と平安あれ)のドゥアーをすると、アッラーが治してくれました。

PDFファイルはこちらから➡プリンセスラティーファとクモ.pdf



posted by An Noor at 19:37| Comment(0) | 幼児〜低学年向けストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月11日

ラシーダ姫の贈り物

女の子に人気、プレンセス・シリーズのお話の中から、ラシーダ姫のお話を、尊敬するシスターが訳してくださいました!
丁寧な解説もつけてくださっています。
ジャザーハッラーフハイラン!
絵本をお持ちの方は、ぜひご活用ください♪
(注:原作からあえて内容を変えてある部分があります。)

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P3
ビスミッラーヒッラフマーニッラヒーム(びすみっらーひっらふまーにっらひーむ)
バラ(ばら)の花々(はなばな)が咲き始める(さきはじめる)頃(ころ)、イスラーム(いすらーむ)の国(くに)のバラカ(ばらか)宮殿(きゅうでん)では、かわいらしい女(おんな)の赤ちゃん(あかちゃん)が産まれました(うまれました)。
アッラー(あっらー)の99の美名(びめい)を愛して(あいして)いた王様(おうさま)とお妃(おきさき)様(さま)は、その中(なか)でも一番(いちばん)好き(すき)なお名前(おなまえ)「ラシード(らしーど)(善く(よく)導かれる(みちびかれる)御方(お))」から、その女(おんな)の子(こ)に、プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)という名前(なまえ)をつけました。

P4
プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、本(ほん)を読む(よむ)のが大好き(だいすき)な、とても頭(あたま)のいい女(おんな)の子(こ)に育ちました(そだちました)。王様(おうさま)とお妃(おきさき)様(さま)は、プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)のことをとてもかわいがっていました。
しかし、プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)には悩み(なやみ)がありました。それは、お兄さん(おにいさん)のハキーム(はきーむ)王子(おうじ)のことです。ハキーム(はきーむ)王子(おうじ)は、両親(りょうしん)が妹(いもうと)のプリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)ばかりかわいがるのでやきもちをやいて、プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)にいつもひどい意地悪(いじわる)をしていたのです。
「ああ、またお兄(おにい)ちゃんが、お父様やお母様に嘘(うそ)をついたのね!私(わたし)が、宮殿(きゅうでん)の物(もの)を盗んだ(ぬすんだ)なんて!!なんてひどい嘘(うそ)!そんなことするわけがないのに。お兄(おにい)ちゃんは私(わたし)にいつも意地悪(いじわる)ばかり。あんなお兄(おにい)ちゃん、いなくなればいいのに。」
プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、ひとり悲しみ(かなしみ)に暮れました(くれました)。

P7
今晩(こんばん)は、ハキーム(はきーむ)王子(おうじ)が王様(おうさま)から王子(おうじ)としての大事(だいじ)な仕事(しごと)を任せられる(まかせられる)即位式(そくいしき)のパーティ(ぱーてぃ)です。みんな、ハキーム(はきーむ)王子(おうじ)へのプレゼント(ぷれぜんと)を用意(ようい)するのに夢中(むちゅう)でしたが、プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、友達(ともだち)のファーティマ(ふぁーてぃま)に言いました(いいました)。

「ねぇ、ファーティマ(ふぁーてぃま)、今晩(こんばん)のパーティ(ぱーてぃ)、、、、私(わたし)、どうしても出たく(でたく)ないの。あんな意地悪(いじわる)なことをするお兄(おにい)ちゃんのパーティ(ぱーてぃ)に出なく(でなく)たって、当然(とうぜん)でしょ。私(わたし)、絶対(ぜったい)お兄(おにい)ちゃんを許す(ゆるす)ことなんてできないんだから!」
ファーティマ(ふぁーてぃま)は言いました(いいました)。
「そうね、、、でも、アッラー(あっらー)にお尋ね(おたずね)してみるのが一番(いちばん)いいと思う(おもう)わ。イスティハーラ(いすてぃはーら)の礼拝(れいはい)※をしてみたら?」

※イスティハーラ(いすてぃはーら)の礼拝(れいはい):何(なに)かを決断(けつだん)・選択(せんたく)する際(さい)に、アッラー(あっらー)に最善(さいぜん)のものをお願い(おねがい)するための礼拝(れいはい)。2(2)ラカート(らかーと)の任意(にんい)の礼拝(れいはい)をして、決まった(きまった)ドゥアー(どぅあー)を唱える(となえる)。『ム(む)スリム(すりむ)の砦(とりで)』p68参照(さんしょう)

P8
プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、部屋(へや)に戻る(もどる)と、ファーティマ(ふぁーてぃま)のアドバイス(あどばいす)通り(どおり)、ハキーム(はきーむ)王子(おうじ)のパーティ(ぱーてぃ)に出ない(でない)ことについて、アッラー(あっらー)にイスティハーラ(いすてぃはーら)の礼拝(れいはい)をしました。
「アッラー(あっらー)、どうかそれが善い(いい)ことならば簡単(かんたん)にしてください。悪い(わるい)ことならば、遠ざけて(とおざけて)ください。」

プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)がドゥアー(どぅあー)を言い終わった(いいおわった)途端(とたん)、ベランダ(べらんだ)に、いつもの小鳥(ことり)がやって来て(きて)、必死(ひっし)に大きな(おおきな)鳴き声(なきごえ)で鳴き出しました(なきだしました)。
「あら、今日(きょう)はなんだか様子(ようす)が変(へん)だわ。すごく必死(ひっし)に鳴いて(ないて)、私(わたし)に何(なに)かを知らせよう(しらせよう)としているみたい。。。もしかしたら、アッラー(あっらー)からの知らせ(しらせ)かもしれないわ。小鳥(ことり)の後(あと)に、ついて行って(いって)みましょう。」

P11
プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)が、小鳥(ことり)の後(あと)について行く(いく)と、夜(よ)がすっかり暮れて(くれて)しまいました。暗闇(くらやみ)の中(なか)で、小鳥(ことり)がひとつの枝(えだ)に止まるのが見えました(みえました)。そして、その下(した)には、覆面(ふくめん)をした二人(ふたり)の男(おとこ)が、声(こえ)を潜めて(ひそめて)話し合って(はなしあって)いました。
「おい、今晩(こんばん)の王子(おうじ)のパーティ(ぱーてぃ)で、必ず(かならず)王子(おうじ)を仕留める(しとめる)のだぞ。」
「もちろん、準備(じゅんび)は万端(ばんたん)だ。鉄(てつ)の矢(や)で、王子(おうじ)の胸(むね)を打ちぬいて(うちぬいて)やるさ。」
「王子(おうじ)に王位(おうい)を継承(けいしょう)させるわけにはいかない。絶対(ぜったい)にしくじることは許されない(ゆるされない)ぞ。」
プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、震えながら(ふるえながら)その場(ば)を動く(うごく)ことができませんでした。
「お兄(おにい)ちゃんが今晩(こんばん)、殺されちゃう(ころされちゃう)・・・どうしよう・・意地悪(いじわる)なお兄(おにい)ちゃんなんて、いない方(ほう)がいいって思って(おもって)いたけど、、、
いいえ、やっぱり、私(わたし)はアッラー(あっらー)が喜ぶ(よろこぶ)ことをしたい!お兄(おにい)ちゃんを助けなきゃ(たすけなきゃ)!」

P12
プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、良い(よい)考え(かんがえ)を思いつきました(おもいつきました)。鉄(てつ)の矢(や)に負けない(まけない)大きな(おおきな)磁石(じしゃく)のペンダント(ぺんだんと)を作って(つくって)、王子(おうじ)にプレゼント(ぷれぜんと)することにしたのです。
「アッラー(あっらー)は、クルアーン(くるあーん)で、悪い(わるい)ことをされたら、良い(いい)ことで返す(かえす)ように、と教えて(おしえて)くださったわ※。だから、このペンダント(ぺんだんと)をお兄(おにい)ちゃんにあげよう、インシャーアッラー(いんしゃーあっらー)。」

プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、お祈り(おいのり)の後(あと)、必死(ひっし)にアッラー(あっらー)にドゥアー(どぅあー)しました。
「アッラー(あっらー)、どうか、このペンダント(ぺんだんと)でお兄(おにい)ちゃんをお守(おまもり)ください。アッラー(あっらー)、私(わたし)はあなたのことが大好き(だいすき)です。だから、これまでお兄(おにい)ちゃんがした意地悪(いじわる)を私(わたし)は全部(ぜんぶ)許しました(ゆるしました)。どうかお兄(おにい)ちゃんを助けて(たすけて)あげてください!!」
プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)の目(め)から涙(なみだ)がこぼれ落ちました(おちました)。

※クルアーン(くるあーん) フッスィラ(ふっすぃら)章(しょう)41-34【善(ぜん)と悪(あく)とは同じ(おなじ)ではない。(人(ひと)が悪(あく)をしかけても)一層(いっそう)善行(ぜんこう)で悪(あく)を追い払え(おいはらえ)。そうすれば、互い(たがい)の間(あいだ)に敵意(てきい)ある者(もの)でも、親しい(したしい)友(とも)のようになる。】

P15
パーティ(ぱーてぃ)が始まる(はじまる)とすぐに、プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、ハキーム(はきーむ)王子(おうじ)に大きな(おおきな)磁石(じしゃく)のペンダント(ぺんだんと)をプレゼント(ぷれぜんと)しました。
人々(ひとびと)は、真っ黒(まっくろ)な重たい(おもたい)ペンダント(ぺんだんと)を見て(みて)、ひそひそと話し(はなし)をしました。
「見て(みて)見て(みて)!プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)ったら、よっぽどハキーム(はきーむ)王子(おうじ)のことが嫌い(きらい)なのね。大事(だいじ)なパーティ(ぱーてぃ)で、あんな醜い(みにくい)ペンダント(ぺんだんと)をさせて王子(おうじ)に恥(はじ)をかかせるなんて、なんてひどい妹(いもうと)なの!」
「ほんと!王子(おうじ)がかわいそう!あんな重い(おもい)ペンダント(ぺんだんと)、首(くび)が折れちゃう(おれちゃう)わ。やっぱりプリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は意地悪(いじわる)で性格(せいかく)が悪い(わるい)わね。」
プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、みんなの声(こえ)が聞こえて(きこえて)いました。
「アッラー(あっらー)は本当(ほんとう)のことを知って(しって)いるから大丈夫(だいじょうぶ)」プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、自分(じぶん)に言い聞かせる(いいきかせる)と、王子(おうじ)に向かって(むかって)笑顔(えがお)を作りました(つくりました)。
しかし、ハキーム(はきーむ)王子(おうじ)も、人々(ひとびと)の声(こえ)を聞いて(きいて)いました。
「やっぱりプリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、私(わたし)のことが嫌い(きらい)なんだ。こんなひどいプレゼントをくれるなんて、、、」
するとその時(とき)です。

P17
「王子(おうじ)の命(いのち)は、もらったぞ!」
弓矢(ゆみや)を持った(もった)男(おとこ)が、ハキーム(はきーむ)王子(おうじ)の前(まえ)に躍り出る(おどりでる)と、王子(おうじ)に向かって(むかって)弓(ゆみ)を放ちました(はなちました)。

シューーーーッ(しゅーーーーっ)!!!弓矢(ゆみや)がまっすぐに王子(おうじ)の胸(むね)をめがけて飛んで(とんで)来ました(きました)。

一瞬(いっしゅん)の出来事(できごと)に、誰(だれ)もその場(ば)を動く(うごく)ことができません。

P19
その時(とき)、思い(おもい)もかけないことが起こりました(おこりました)。

「カキーン(かきーん)!!」

鉄(てつ)の矢(や)が、プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)のあげた大きな(おおきな)磁石(じしゃく)のペンダント(ぺんだんと)に吸い寄せられて(すいよせられて)、ペンダント(ぺんだんと)の真ん中(まんなか)に命中(めいちゅう)したのです。

アルハムドゥリッラー(ある)、ハキーム(はきーむ)王子(おうじ)は、一(いち)命(めい)をとりとめました。

P20
すぐに警備員(けいびいん)が、男(おとこ)を捕まえました(つかまえました)。
「くそっ!あんなペンダント(ぺんだんと)さえなければ、矢(や)は命中(めいちゅう)していたのに!!」男(おとこ)は悔しそう(くやしそう)に叫びました(さけびました)。
人々(ひとびと)は、プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)のプレゼント(ぷれぜんと)を悪く(わるく)言った(いった)ことを後悔(こうかい)しました。

「アルハムドゥリッラー(ある)、プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)のペンダント(ぺんだんと)が王子(おうじ)の命(いのち)を救った(すくった)わ。アスタグフィルッラー(あすたぐふぃるっらー)。アッラー(あっらー)ごめんなさい。プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)になんてひどいことを言って(いって)しまったのかしら。本当(ほんとう)に私たち(わたしたち)が間違って(まちがって)いたわ。」

ハキーム(はきーむ)王子(おうじ)もプリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)にあやまりました。

P22
「プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)、本当(ほんとう)に今(いま)まで私(わたし)が間違って(まちがって)いました。どうか私(わたし)の今(いま)までの悪い(わるい)行い(おこない)を許して(ゆるして)おくれ。プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)、私(わたし)の命(いのち)を救って(すくって)くれて、本当(ほんとう)にありがとう。お前(おまえ)は、世界(せかい)で一番(いちばん)すばらしい妹(いもうと)だ。」

プリンセス(ぷりんせす)・ラシーダ(らしーだ)は、ハキーム(はきーむ)王子(おうじ)のことをもうとっくに許して(ゆるして)いました。
「お兄(おにい)ちゃん、もういいのよ。アルハムドゥリッラー(あるはむどぅりっらー)、アッラー(あっらー)がお兄(おにい)ちゃんの命(いのち)を救って(すくって)くれたことに感謝(かんしゃ)します。アッラー(あっらー)がクルアーン(くるあーん)で教えて(おしえて)くださったことは本当(ほんとう)だったわ。これからは、世界(せかい)で一番(いちばん)仲(なか)のいい兄弟(きょうだい)になれそうね。」
二人(ふたり)は初めて(はじめて)心(こころ)の底(そこ)から笑い合いました(わらいあいました)。

バラカ(ばらか)宮殿(きゅうでん)に、二人(ふたり)の笑い声(わらいごえ)が響き(ひびき)、国中(くにじゅう)の人々(ひとびと)は、二人(ふたり)の仲直り(なかなおり)を祝福(しゅくふく)してみんなで喜び合いました(よろこびあいました)。

PDF版ダウンロード→プリンセスラシーダ.pdf