2009年12月05日

Sitti's Secrets おばあちゃんの秘密

今日は、ちょっと長編のお話を紹介します。対象年齢は5歳から8歳となっています。

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この本は特にイスラミック、という本ではないのですが(ところどころイスラーム的でない部分も多少あったりしますし)、何が素晴らしいかというと、まずはそのイラストの美しさです。そして、ストーリーの美しさ。言葉が紡ぎだす世界に大人でも魅了されてしまいます。

「私のおばあちゃんは地球の反対側に住んでいる。」で始まるこの物語、同じような状況にいるムスリムの子供はたくさんいると思います。この物語の主人公、アメリカに住むモナのおばあちゃんは遠くアラビアに住んでいます。一度、モナが父親と訪れたおばあちゃんの国では、話す言葉も文化も違いました、でもそこに言葉などは必要ありませんでした・・・。

この物語を読むと、我が家の子供たちの状況がダブって見えてきます。子供たちも、父親の国での思い出とダブらせながら話を聞いていました。また、最後の別れの部分は涙が出そうになります。最後にモナはアメリカの大統領に手紙を書きます。そこにはおばあちゃんの秘密を添えて。

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以下、日本語訳です。

ワード・ファイルはこちら(転載・配布自由)⇒Sitti’s Secrets おばあちゃんの秘密.doc

Sitti’s Secrets
おばあちゃんの秘密


(1ページ目)
私のおばあちゃんは地球の反対側に住んでいる。私がお昼のとき、おばあちゃんは夜。私の空が暗くなるとき、おばあちゃんの窓からは太陽がのぞいてる。おばあちゃんのレモンの木のレモンを明るく染めながら。寝るときはいつもこのことを考える。「おばあちゃんの番よ!」っていつも言うの。

(2ページ目)
私達の間には何マイルもの土地と水。私達の間にはたくさんの魚と街とバスと畑。

(3ページ目)
そして、大統領と物干し竿とトラックと「止まれ」の標識と「立ち入り禁止」の標識と食料品店とベンチと家族と砂漠と無数の木。

(4ページ目)
前に一度おばあちゃんのところを訪ねたの。おばあちゃんと私は話す言葉が違う。おばあちゃんと話すときはお父さんを通して話した。まるでお父さんが電話みたいに。お父さんはどちらの言葉もわかるし、私達が話すことを通訳できたから。

私はおばあちゃんのことを「シッティ」って呼んだ、アラビア語でおばあちゃんって意味だって。おばあちゃんは私のことを「ハビービー」って呼んだ。ダーリンって意味。おばあちゃんの声は鳥たちの鳴き声みたいに高く響いた。くすくす笑ったり、曲がり角を行く風みたいにヒューって音がしたりした。おばあちゃんの声には無数の流れがあった。

 数本のカールした黒い髪がスカーフの片側からのぞいてて、一本の白い髪がもう片側からのぞいてた。おばあちゃんの髪がしましま模様なのか知りたくてスカーフをとってみてほしくなった。

(5ページ目)
 そのうちすぐに私達は自分たちだけの言葉を作りだした。おばあちゃんは私のおなかを指差して、おなかがすいていないか聞いた。私はドアを指差して、外に行きたくないか、と聞いた。私達は畑まで歩いていって、男たちが豆を収穫するのを見て、口笛と拍手で空をほめたたえた。
 
 斑点模様の牛を飼っている家族から牛乳を買うために道を渡った。牛さんに「ハビービー」って呼んでみたら、私にウインクしたの。私達は口笛と舌打ちで牛さんに牛乳のお礼をした。牛乳はシッティの小さなティーポットに入れて持ち帰った。

(6ページ目)
 毎日、いとこのファウジー、サミー、ハニー、そして隣のヘンディアと一緒に遊んだ。中庭でビー玉遊びをした。あの子達のビー玉は青や緑で、まるで惑星のように埃の中を転がっていった。

(7ページ目)
 私のおばあちゃんは地球の反対側に住んでいる。おばあちゃんは朝食にきゅうりを食べる。パンとヨーグルトと一緒に。おばあちゃんは家の隣にある丸くて古いオーブンで、大きくて平べったいパンを焼く。真ん中で火が燃えていて、おばあちゃんは両手で生地をたたいて、オーブンの真ん中の黒い岩の上に広げて焼く。お父さんが、おばあちゃんが100年もの間、ああやってパンを焼いていると言った。

(8ページ目)
 おばあちゃんと私は午後にはレモンの木の下に座って、ミント入りのレモンティーを飲んだ。おばあちゃんは私がミントの枝を摘んであげると喜んだ。おばあちゃんはミントに鼻を押し付けて香りを嗅かぐのが好きだった。

 たまに、夕食のためにズッキーニにお米を詰めたこともあった。ハビービー、ハビービー、って歌いながらお鍋の中に詰め込んだ。それをやってる最中、アーモンドを割って、ミシュミシュって言うアプリコットを食べた。

 (9ページ目)
 ある日、シッティがスカーフをとって髪を外に振り出して、太陽の下、桶の中で髪を洗い始めた。その髪の長さにびっくりした。そして、やっぱり!しましま模様だった。自然にそうなったんだ、って言ってた。私は、髪を乾かすときに、くしでとくのを手伝ってあげた。おばあちゃんは三つ編みしてピンで上に留めてからスカーフをかぶってた。
 
 シッティの秘密を知ったような気がした。

(10ページ目)
 午後にはいつも階段を上ってシッティの家の屋上から、空を見て、空気のにおいを嗅いで、洗濯物を取り込んだ。私のおばあちゃんは、村の女の人たちが泉からくんだ水を入れた壺を頭の上に乗せて運ぶのを見たくて、その時間に洗濯物を外してた。おばあちゃんも昔はそうしてたみたい。お父さんが言うには、もう女の人たちは別に泉から水をくむ必要はないんだけど、そうするのが好きなんだって。昔から続く、忘れたくないもののひとつなんだって。

(11ページ目)
 お父さんと私が帰らなきゃいけない日、みんな、泣いて、泣きじゃくった。私のお父さんでさえも何度も鼻をかんでは外へ出て行ってた。私もシッティが私の頭を抱いて肩に押し付けたとき、いっぱい泣いた。いとこたちは、飛行機で食べられるように、ってアーモンドの入った袋をくれた。シッティは自分で縫った小さな巾着をくれた。巾着には、きらきらする糸でシッティのレモンの木が刺繍してあった。シッティはアーモンドを巾着の中に入れて紐をきつく締めてくれた。

(12ページ目)
 私達の飛行機は世界の反対側へ飛んでいった。
 おばあちゃんの手のタトゥーを思い出す。それは飛びたつ鳥のようだった。お父さんは、それは100年もの間、ずっとあるんだって言った。
 
 シッティの部屋の隅にあった緑色の古いトランクを思い出す。南京錠がかけてあって、その鍵には緑のリボンを通していつも首にかけていた。あの中には私のおじいちゃんの指輪と、金色の糸と、針と、古いドレスの青いベルベットの布の切れ端をたたんだものと、二冊の革の本、私のお父さんのアメリカに来る前の写真と、私の両親の結婚式の日の写真と、私が赤ちゃんのときのにっこり笑ってぷくぷく太ってる写真が入れてあった。私、ほんとにあんなふうだったのかな?

(13ページ目)
 家に帰ったあと、私はアメリカ合衆国の大統領に手紙を書いた。

 親愛なる大統領様へ
 私のおばあちゃんは、秘密をささやくレモンの木がある、世界の反対側に住んでいます。おばあちゃんはそれに話しかけ、自分の飲むコップから水をあげます。おばあちゃんは次にどの枝からレモンがなるかを当てます。村の年老いた男性や女性は皆、木を大事に世話しています。きらきら輝く葉っぱのいちじくの木を持ってる人もいます。落ちるときにはまるで雪のように見える白い花に包まれた、アーモンドの木を持ってる人もいます。

 昨夜、テレビでニュースを見ていて、心配になりました。もしアメリカの人々がシッティに会うことができたら、絶対シッティのことを好きになると思います。
 私のおばあちゃんは星や月や雲を読み取ることができます。夢やカップの底の紅茶の葉っぱも、読み取ることができます。私のおでこの上から幸運も読み取ることができるそうです。
 大統領様、あなたの大変なお仕事に幸運を祈ります。私は平和に一票入れます。私のおばあちゃんとともに。
心をこめて、
                               モナ

(14ページ目)
 私のおばあちゃんは、世界でこれから起こることを知っているかな?

 世界にはおでこがあるのかな?
 
 たまに、私はこの世界が、寝ている子供みたいに丸くうずくまりながら、宇宙の中で転がってる大きな体にように思える。人々は離れているけど、つながっている。

(15ページ目)
 私のおばあちゃんは地球の反対側に住んでいる。私が夢を見ている間、おばあちゃんはふわふわのベッドから起き上がって、ドアから出て、レモンの木に育つレモンをチェックする。おばあちゃんが起きて一番最初にやることはレモンに「おはよう」を言うこと。
 
 一日をかけて、中庭のおばあちゃんの木の、葉っぱがいっぱいうつった影の形は変わっていく。おばあちゃんはその影を見ながら生活をする。おばあちゃんは寝るとき、私のことを夢に見る
この記事へのコメント
アッサラームアライクム

マレーシア在住のフィトラです。

ドゥアーを検索していたらうんみさんのホームページに出合いました。

マーシャーアッラー すてきなHPですね。
お子さんのいらっしゃるムスリマ仲間にも紹介したいです

「おばあちゃんの秘密」読みたくなりました!

イード・ムバーラク!
ヒジュラ1432年ズルヒッジャ月9日

 
Posted by フィトラ at 2011年11月05日 07:02
ワアライクムッサラーム!

コメントに気づくのが遅くなり、すみませんでした!
コメント、ありがとうございます。
最近、あまり更新できていませんが、またこれからもよろしくお願いします^^
Posted by うんみ at 2011年12月20日 18:01
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