2009年11月15日

An Eid Story : The Lost Ring あるイードの物語:なくなった指輪

今回は、少し長編です。お話を楽しみながら犠牲祭について学べる内容になっています。ちょっと長めのストーリーですが、イラストがいっぱい入っているので小さい子どもでも楽しんで聞ける内容です。

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ワード・ファイルはこちら⇒An Eid Story:The Lost Ring 日本語訳.doc(転載・配布は自由です。)

An Eid Story : The Lost Ring
あるイードの物語:なくなった指輪



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 ラフマの祖母と従姉妹のムスリマが、イードの為にラフマの家を訪れていました。おばあちゃんは二人の女の子たちのために、イード用のドレスを作ってくれていました。
「合うかどうか、着てごらんなさい。」とおばあちゃんは言いました。ラフマとムスリマは長くてきれいなドレスを着てみると、リビング・ルームの中でくるくる回り始めました。「私たち、なんだかプリンセスみたいじゃない、おばあちゃん?」と、ラフマは笑いながら言いました。

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 おばあちゃんは、生地をこねる手をとめ、にっこり笑いました。「マーシャーアッラー!二人ともとっても素敵よ。でも、汚さないように今は脱いでおきなさいね。」と、アドバイスしました。

 着替えてから、ムスリマはキッチンのテーブルの椅子に座り、おばあちゃんが片手で生地をこねるのを見ました。「今からは両手を使わなきゃね。」おばあちゃんがそう笑って金の指輪を抜くのをムスリマは見ました。それがおじいちゃんからの特別な指輪だということをムスリマは知っていました。
 
 ちょうどそのとき、ラフマのパパとママが玄関から入ってきました。二人ともイードの買出しで大忙しだったのです。「アッサラーム・アライクム、ママ、パパ。」ラフマは言いました。「アッサラーム・アライクム、ハーリドおじさんとファルナーズおばさん!」とムスリマも挨拶しました。「ワアライクムッサラーム、子供たち。」ラフマの両親は答えました。「ママ、楽しかった?」とラフマは聞きました。「いいえ、ダーリン、とっても疲れたわよ。」とママはラフマにハグをするため腰をかがめながら答えました。「私は楽しかったけどね。」とパパは笑いました。「買い物は私にとっては楽しみのひとつだ。」ラフマのパパは普段は病院で働いているので、買い物に行く時間がほとんどないのです。

 ママはキッチンに入ると、おばあちゃんがイード用のサモサのための生地を用意しているのを見ました。「ああ、お母さん!」とママは大声で言いました。「料理は私にやらせてよ。お母さんを疲れさせたくないわ。」

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 「サモサのための生地を作ろうとしていたんだけどね。」と、おばあちゃんは言いました。「あなたが戻ってきたことだし、今は私が持ってきたギフトを子供たちにあげようかしらね。マルチ・マドラサっていう物よ。」「まあ!きっと気に入るわ。」ママは答えました。「近所にいるハーシムって子がそのプログラムを持っているのよ。とっても面白いの!」

ちょうどそのとき、ムスリマがキッチンに入ってきて聞きました。「ファルナーズおばさん、いつサモサ作るの?ラフマと私、作るのを手伝いたいの。」「あと一時間ぐらいでよ、ダーリン。」ママは二階へ、いくつかの買い物袋を大変そうに運びながら答えました。

パパがイードのための電飾を家の外や戸口に飾りつける間、子供たちはおばあちゃんと遊びました。まもなくズフルの礼拝の時間になりました。

ラフマの兄弟、ターハーとハムザは皆が礼拝できるよう、床にシートを広げました。それから、ハムザがアザーンを言い、パパが礼拝を先導しました。皆が礼拝を終えた後、おばあちゃんが大人には紅茶、子供たちにはホット・チョコレートを作ってくれました。

しばらくして、ママはサモサの中身の準備を始めました。ママは丁寧に、マッシュしたじゃがいも、刻んだグリーンチリ、みじん切りのたまねぎ、スパイス類、塩をお皿に載せて並べました。

「うーん。」ママは、うなりました。「何かが抜けているのよね。」ママは材料をもう一度眺めてから気づきました。「そうそう、グリーンピース!」

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「ムスリマとラフマ、ダーリン!」ママが呼びました。「材料を混ぜるお手伝いの準備はできた?ママは今、冷蔵庫にグリーンピースをとりに行くところよ。」ラフマは一週間前からずっとサモサを作ることを楽しみにしていました。ラフマは辛くてスパイシーなインドのスナックを食べるのが大好きだったのです。二人の女の子たちは手を洗うために洗面所に駆けていきました。

ラフマがキッチン・カウンターに一番に着き、踏み台の上に立ちました。ラフマは生地のボウルの横におばあちゃんの指輪が置いてあるのを見つけました。「あ〜!おばあちゃんの指輪!」ラフマは叫びました。ラフマは指輪をはめてみましたが、自分の指には大きすぎたので親指にはめました。ムスリマがやって来てラフマの隣に立ちました。二人とも生地をゆっくりとつついてみました。まるで大きくてふわふわの雲のようでした。
ママがキッチンに戻ってきました。ママは大きなボウルにグリーンピースを全部入れました。そして、マッシュしたじゃがいもの中に残りの材料を加えました。「二人とも、手は洗った?」とママが聞きました。ラフマとムスリマはうなずきました。「オーケー。誰が最初?」ママが聞きました。「ラフマが先でいいわ、私より小さいから!」とムスリマが譲りました。「ありがとう、ムスリマ!」ラフマはにっこり笑いました。

ラフマは両手をボウルの中に入れ、中身をぎゅーっと握り締めました。「わ〜!これ、すっごく気持ち言いわよ、ムスリマ!」ラフマは笑いました。

(p.12)
まもなく、ムスリマの番になりました。ラフマは手を洗ってママがサモサの生地を丸く伸ばすのを手伝いました。

子供たちが手伝う間、ママは買い物の様子について話してくれました。

伸ばした生地に中身を入れる番になったとき、おばあちゃんがキッチンにやってきて手伝いました。

ラフマは最後のサモサを保存容器に詰めました。「よく頑張ったわね、あなたたち!」ママは言いました。「今はこれを冷凍庫に入れておいて、インシャーアッラー、イードの日に揚げるわね。」

「祝福されたイードを迎えるためにきれいにしなくちゃね。」とおばあちゃんは言いました。そこで、残りの午後は家族で掃除機をかけ、モップをかけて、ほこりをはらい、洗い物をするのに費やしました。日が暮れるころには皆疲れていました。最後に、パパが子供たちと一緒に座り、イード・ル・アドハー(犠牲祭)について話してくれました。

「ラマダーンが終わったあとのイードの名前を知っている人はいるかい?」パパが聞きました。「イード・ル・フィトルよ!」ムスリマは叫びました。「マーシャーアッラー!」パパが言いました。「じゃあ、次にくるイードの名前はわかるかい?」「あぁ、パパ!私の先生のシスター・ナディアが先週、教えてくださったわ。イード・ル・アドハーでしょう、犠牲祭!」

(p.14)
「よくできたね、ラフマ。」パパが褒めました。「ビッグ・イード(大きなイード)とも呼ばれるんだよ。」

パパは家族に、預言者イブラーヒームとその家族について、そして、どれだけ彼がいつもアッラーに従順であろうとしたか、を話してくれました。「彼はアッラーのことを本当に愛していたんだよ。」パパは説明しました。「そして、人々のこともとっても愛していたんだよ。私達も預言者イブラーヒームのようになれるよう、努力しないといけないね。」

パパが、アッラーがどのようにして預言者イブラーヒームの従順さを試したか、そして、預言者イブラーヒームが自分の愛する息子のイスマーイールを犠牲として差し出すことさえも厭わなかったこと、いざその時が来たときにイスマーイールの代わりに犠牲にするように、とアッラーが羊をお送りになったことなどを話す間、子供たちが興奮しながら聞きました。

「だから世界中のムスリムはイード・ル・アドハーの日にヤギや羊、ラクダや牛を犠牲にするんだよ。」パパは説明しました。「預言者イブラーヒームやイスマーイールのように私達もアッラーに従順であります、ということを示すためにね。」「貧しい人たちもその日は幸せなのよね、パパ?」ラフマが言いました。「マーシャーアッラー!そうだよ!その日は貧しくて困窮している人たちもお肉やプレゼントを受け取るんだ。愛とやさしさに溢れているんだよ。」パパが答えました。

(p.16)
「アッラーは私達にいつもそうあってほしいと思っていらっしゃるのよ。」おばあちゃんが言いました。「私達にいつもお互いに親切で、愛し合い、分かちあってほしいと思っていらっしゃるのよ。」

「インシャーアッラー、明日はアラファーの日のために断食して、病院にいる病気の子供たちを訪ね、お菓子などをあげることにしよう。」とパパが言いました。

アラファーの日を、子供たちは忙しく過ごしました。病院を訪ね、地域や近所の人々にプレゼントを配ったのです。

すぐに、断食を解く時間となりました。「誰がドゥアーをしたい?」とパパが聞きました。「ハーリドおじさん、私、いいドゥアーを勉強したの、言ってもいい?」ムスリマが言いました。「もちろん、いいよ、ムスリマ。」パパは微笑みました。「アッラーからのたくさんの祝福が皆に届きますように、アッラーが皆に平安を与えたまいますように、そしてアッラーが皆に楽しく祝福されたイードを与えてくださいますように、アーミーン。」ムスリマが言いました。「アーミーン!」と皆が言いました。「美しいドゥアーだったわね、ムスリマ。」とおばあちゃんが微笑みました。

マグリブの礼拝のあと、皆は食事を済ませ、洗い物や掃除を手伝いました。そして、リビングルームでパパの周りに座りました。

(p.18)
パパは、祝福された預言者ムハンマドのイードの礼拝におけるスンナをおさらいしました。「イード・ル・アドハーでは、礼拝のあとに食べるのがスンナなんだよ。」パパが説明しました。「インシャーアッラー、皆が礼拝のため集まるイード・ムサッラでは、おいしいご馳走が容易されるはずだよ。」

子供たちは、イードでムスリムが何をするかを、お互いに確認しあいました。「毎回、沐浴(グスル)とウドゥーをして一番良い服を着ること。」ラフマが言いました。「お金や服、食べ物を貧しい人たちにあげること。」ターハーが言いました。「で、お肉の3分の1を貧しい人たちに、3分の1を友人や親戚にあげること。」とハムザが言いました。「朝早くおきること。」とムスリマが言いました。「そして、唱える、『アッラーは偉大なり、アッラーは偉大なり。アッラーの他に神はなし。アッラーは偉大なり。アッラーは偉大なり。アッラーに称賛あれ。』」「マーシャーアッラー!」ママが言いました。「みんな、すばらしいわ!よく全部覚えているわね。」

その夜、子供たちは興奮してなかなか眠れませんでした。

(p.20)
ついに、イードの日を迎えました。「アルハムドゥリッラー!」ラフマが言いました。「スブハーナッラー!」とムスリマが言いました。皆、あわただしく準備をしました。

イード・ムサッラでは皆がタシュリークのタクビールを唱えていました。

イードの礼拝のあと、パパは友達と一緒に、農場へクルバーニ(犠牲)のための羊を選びに行きました。

夕方、すべてのお肉が配られ、イードの夕食の準備が終わると、ついにお客さんたちが次々と訪れ始めました。玄関のドアがノックされるたびに大きな挨拶の声「イード・ムバーラク!」が響きます。

しばらく後に、おばあちゃんが突然指輪をなくしたことに気づきました!「あぁ!インナーリッラー!もしかしたらイードの礼拝で落としたのかもしれないわ!」とおばあちゃんは叫びました。

(p.22)
皆が固まりました。皆、おばあちゃんがどれだけあの指輪を大切にしていたか知っていたからです。「違うわよ、おばあちゃん。」ムスリマが言いました。「最後に私が覚えてるのは、サモサを作っているときで、おばあちゃんはキッチン・カウンターに指輪を置いたわよ。心配しないで、インシャーアッラー、見つかるわ。」おばあちゃんが心配そうに言いました。「インシャーアッラー、家の中にあるといいのだけれど。」

ムスリマは子供たちを皆集めました。「こういうのは任せてよ!」と隣に住むハーシムが言いました。「僕、探偵ごとは得意なんだよ。まず一番初めにやらなきゃならないのは、皆に質問することさ。」突然、ラフマは、はっと大きく息を飲み込みました。「ヤー、アッラー!」ラフマは叫びました。ラフマは両目を大きく見開き、両手で顔をふさいでいました。「ああ、まさか!」ラフマは自分がおばあちゃんの指輪をはめたことを思い出したのです。「指輪はサモサの中よ!」ラフマは、どもりつつ言いました。子供たちは信じられない、という顔でラフマを見ました。「サモサの中ってどういう意味なんだい?」とハーシムが聞きました。「どうやったら指輪がサモサの中に入るのさ?」「スブハーナッラー、でも、そうなの!」ラフマは訴えました。「私がサモサ作りのお手伝いをするときおばあちゃんの指輪をはめていたの!」「じゃあ、やるべきことは一つだけだ。みんな、サモサを食べる前に全部開いてみるんだ。」とハムザが言いました。「それしかない!」
(p.24)
子供たちはダイニング・テーブルの上の大きなサモサのお皿を見ました。子供たちは皆サモサを手に取りました。一つ、そして、また一つ、と子供たちは食べる前にサモサを割って指輪がないか確認します。

ママがナプキンを取るためにダイニング・ルームに入ってきて、子供たちを不思議そうに眺めました。「サモサがそんなにおいしいのね?」困惑した顔で眉毛を上げながらママが言いました。子供たちは皆サモサを手にしています。皆、笑ってうなずきました。ママは満足げにうなずき、微笑み返して「アルハムドゥリッラー。」といいました。「でも、ほかの食べ物も食べてね。」

(p.26)
子供たちは作業を続けました。ついに、最後の一個のサモサが残りました。皆、おなかを抱えています。「もう、食べられないよ。」ハムザは泣き言を言いました。ムスリマは最後のサモサを手にとり、それを四つに割りました。「ここに絶対あるはずよ。」ムスリマは、ターハー、ラフマ、ハーシムに一つずつ渡しました。「ここじゃないよ!」と皆、次々にがっかりしながら叫びました。

ラフマの顔が赤くなりました。すぐにも泣き出しそうな顔です。「あれはおばあちゃんの大事な指輪だったのに、今はもうなくなってしまったんだわ!」ラフマは泣き叫びました。ラフマは惨めに感じました。「ママやおばあちゃんにこのことを伝えたら、みんなの楽しいイードをめちゃめちゃにしちゃうわ。」ラフマはすすり泣きました。

「心配しないで。インシャーアッラー、おばあちゃんの指輪は皆で見つけるよ。」
とハムザが元気づけました。「そうよ。」ムスリマも励ましました。「皆でアーヤト・ル・クルシーを唱えて、アッラーの助けをお願いしましょうよ。」ドゥアーをした後、子供たちはリビング・ルームに入りました。お母さんたちはある一角に集まってグッド・フェイス・スクールの資金調達者について話していました。

(p.28)
お父さんたちは暖炉の周りで世界の諸問題について話していました。ちょうどそのときです、ママが叫びました。「痛っ!」皆が見ると、ママは口と半分食べかけのサモサを押さえていました。「スブハーナッラー!今、何か硬いものを噛んだの!」ママは叫びました。子供たちの顔がパッと明るくなりました。ママはサモサの中から何かを取り出しました。「スブハーナッラー!お母さん!あなたの指輪よ!」彼女は信じられない顔つきで言いました。おばあちゃんは指輪が見つかったことをとても喜びました。

ラフマはおばあちゃんのところに行き、抱きつきました。「ごめんなさい、おばあちゃん。」ラフマはささやきました。「たぶん、私、おばあちゃんの指輪を誤ってサモサの身の中に落としてしまったの!怒らないでね。」「大丈夫よ。」おばあちゃんはラフマをきつく抱きしめました。

ラフマはムスリマを見上げ、くすっと笑って言いました。「たぶん、これからは、いつもこの日のことをサモサ・イードって思い出しちゃうわね。」
posted by うんみ at 21:21| Comment(0) | ちょっと大きい子向けストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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